「成績が良くなかったとしても…。」
「IQがそんなに高くなくても…。」
せめて大学くらいは行かせてあげたい。
子どもが困らないくらいに生活できるようにはしてあげたい。
そうですよね。
子どもが小さいうちにせっせとお金を貯めて、その後の教育費にあてようというのがこれまでの考え方です。
でも、ちょっと待ってください。
もしかするとこれからは
「勉強キライ!」「学習ができない!」
とされていた人々にとって、チャンスが訪れるかもしれません。
机の上の勉強以外の、何が大切なのかをエビデンスをもってお伝えします。
もくじ
せめて大学までは…
うちの子も何かやらなきゃ!
人間の資質は大きく分けて認知能力と、非認知能力に分かれると言われています。
「認知的能力」
数が分かる、字が書けるなどのIQや偏差値、学力テストで測れる力
「非認知能力」
テストでは測りきれない粘り強さや、協調性、自制心や自尊心、思いやりなどの内面の力
多くの研究者や幼児・児童教育の学者たちが「非認知能力」について研究し
この力を子ども時代に育むことが将来の学歴や仕事、人生の生き方などに結びつくという重要性を示しています。
読み書き、計算、英語などのいわゆる早期教育の話を耳にすると
「うちの子も、何かやらなきゃ!」と心配になるかもしれません。
読み書きや、計算などの知的教育の成果は目に見えやすく、周囲と比較しやすいだけに保護者として敏感になりますよね。
しかし、ここである経済学者の研究が
“幼児期は特に「非認知能力」と呼ばれる力や姿勢を十分に育てるべきだ”という根拠をエビデンスをもって証明しています。
この研究成果が世界的にも注目され
北欧、欧米などの先進的な園では、知的教育だけではなく、非認知能力を伸ばす教育へと重点をシフトさせているのが世界的な潮流です。
ヘックマンの研究
40年にわたる調査
幼少期の質の高い幼児教育により、この非認知能力を育むことの重要性を証明したのが
ノーベル賞受賞者でシカゴ大学の経済学者の ジェームズ・ヘックマンです。
彼が行った40年間にわたる研究が
ペリー・プレスクール・プロジェクト(Perry Preschool study)です。
・1960年代に米ミシガン州で行われた調査
・貧困世帯のアフリカ系アメリカ人の子ども123人を対象
・対象は3~4才からの未就学児
・2時間半の少人数授業を2年間毎日実施
・毎週の家庭訪問
・保護者にも積極的に介入し親に学びの機会を提供
この幼児教育を受けた58人の子どもたちと
受けなかった65人の子どもたちを40年間に渡って比較調査をするというものです。
どのような結果が生まれたのでしょうか?
生まれた大きな差
14歳、15歳、19歳、27歳、また40歳になった時点でインタビューや調査を行い2つのグループを以下の内容において比較しました。
するとこのプログラムに参加した子どもたちは、そうでない子どもたちと比べ
・学校の中退や留年が少ない
・精神疾患になる確率が低い
・大学進学率が高い
・雇用率が高い
・犯罪歴が少ない
・所得が高い
・持家率が高いなど
その後の人生において大きな影響をもたらし、対象外の子どもたちとの大きな差を示しました。
就学前教育への投資や支出は、雇用や、生活保護の受給、逮捕率などにも影響を及ぼすことから
プログラムを受けた本人のみならず社会全体にとってもよい影響をもたらすことが分かっています。
非認知スキル
IQではない
ペリー就学前プロジェクトの対象の子どもたちは、そうでない子どもたちよりも小学校入学時点でのIQは、高い傾向にありました。
しかし4年前後経過すると…
対象の子とそうでない子のIQの差がほとんどなくなってしまいました。
つまり、このプロジェクトによるIQを高める効果は4年前後しか持続しなかったのです。
にもかかわらず、子どもたちには将来にわたって良い結果が生まれました。
ということは、このプロジェクトはIQ以外の人生に必要な何かの力を向上させたということです。
その何かとは?
それは、知的好奇心や最後まであきらめず物事に取り組む力、友達と協力する力、柔軟な想像力などの「非認知能力」だと言われています。
ペリー就学前プロジェクトの授業内容は、ものすごく突飛で前例のない内容といったわけではなく、あくまでその子のペースに合わせたその子の興味を促すような授業だったそうです。
この非認知能力が現在「生きる力」として注目され、日本の義務教育にも変化の兆しが少しずつ見えてきています。
家族のちから
幼少期に一番子どもたちが影響を受けるのが、生活を共にする家族です。
それゆえに学校や教育関係者だけでなく、お母さんやお父さんがこの力について知っておく必要があるのです。
非認知能力は、幼児期を過ぎても育むことはできます。
しかし一番柔軟で脳が形成されていくこの幼少期を大事にしてください。
それが何十倍にもなって将来返ってきます。
やり方が色々あってわからない方は、一人で悩まずいつでもご相談下さい。→https://cutt.ly/PefqL
1年生が教えてくれたこと
1年生の担任をしていた時
子どもたちの人格や思考など、非認知能力を含めた土台がすでに出来上がっていることを実感しました。
それは、どの教科書やデータに書いてあるものでもなく、私自身が生身の子どもたちと生活していく中で実感したものです。
「これは一体どこからきているのかな?」という好奇心と探求心から
その後、幼稚園、保育園とさまざまな教育施設で子どもたちと触れ合い、観察してきました。
その中で、子どもたちが0歳からどのように大人の影響を受け
どのようにそれを吸収し、自分のものにして子どもの世界(社会)で実践しているかを目の当たりにしてきました。
知識や経験は私たちの人生を助けてくれます。
子どもたちにとって本当に必要なものは何か、それは見えないものを見ようとする力が教えてくれるのです。
参考:Early Childhood Investments Substantially Boost Adult Health、
米サイエンス誌http://science.sciencemag.org/content/343/6178/1478.abstract
中室 牧子「学力の経済学」https://heckmanequation.org/resource/invest-in-early-childhood-development-reduce-deficits-strengthen-the-economy/
お母さんのなりたい自分をプロデュース
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